2016年8月20日土曜日

偉大なる琵琶湖ワールドな本

またまた万城目ワールド、読み直してみました。
前回の京都(「鴨川ホルモー」)に続き、今回は滋賀県のお話です。
そして、言うなれば本作は「超能力バトル」です。と言っても、「幻魔大戦」や「AKIRA」をイメージしてはいけません。そこは万城目ワールド。全てがゆる〜いです。

偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)
万城目 学
集英社 (2013-12-13)
売り上げランキング: 134,218

本作品、実は映画のほうを先に観てしまいました。従って、主人公である日出家の2人、日出涼介=岡田将生さん、日出淡十郎=濱田岳さんというイメージが、強烈に頭に残ってしまいました。

この日出家は、不思議な力(これぞ万城目ワールド!)を持っています。これは琵琶湖(正確には、琵琶湖に住む「あれ」)から与えられた力で、人間の体の中の水に働きかけ、相手の「精神」を自由自在に操ることができます。この力の修行のため、分家の日出涼介が、本家に下宿に来るところから物語は始まります。

本家の家は、なんと広大なお城。それもこれも、日出家が持つ不思議な力で得たものでした。多くの使用人を抱える日出本家の住人は、当主の淡九郎を筆頭に、力を持たない妻の幸恵(韓国に旅行中)、強力な力を持ち他人の心の声が聞こえてしまうが故にひきこもりになった娘の清子(と言っても性格は強烈)、殿様のような天然な性格で涼介をお供に従える息子の淡十郎の4名。

涼介は同い歳の淡十郎と一緒に、日出家の力で無試験で高校に通い始めます。そしてその初日に教室で、日出家と対立し、同じく不思議な力を持つ棗家の広海と出会います。棗家の持つ力は、日出家と同じく人間の体の中の水に働きかけることですが、操るのは精神ではなく「身体」です(正しくは「時間」ですが...)。

日出家がその力を使うとき、棗家の人間には「しゅらららら」という音が聞こえます。一方で、棗家の人間が力を使うとき、日出家の人間には「ぼぼぼぼん」という音が聞こえます。この音は互いにとって、吐き気を催すほどの耐えられない不快な音です。従って、両家は古くから犬猿の仲だった訳です。

そんな両家の元に、2人が通う高校の新任の校長である速瀬が訪れ、圧倒的な不思議な力を使って両家の当主の動き(時間)を止め、両家に土地(石走)から去ることを求めます。両家は、琵琶湖から不思議な力を得ているため、土地から去ることは両家にとって力を失うことを意味します。

校長の強力な力に対抗すべく、残された日出涼介、淡十郎、清子、棗広海が動くなかで、涼介と広海の2人が同時に力を放つときに「しゅららぼん」という強烈な音とともに強烈な力が発揮されること、そして実は淡十郎(持っている素質は抜群)は琵琶湖のご神水を飲んでおらず力も持っていないことが判明します。

そして迎えた立ち退き回答の期日。清子は策を弄し、まんまと校長の精神に入り込みます。しかし、校長は力を持っていませんでした。ただ何者かに操られていただけ。操っていたのは、日出家使用人の源爺でした。しかし、正体を見破ったときには遅く、淡九郎たち同様に清子も、源爺に動きを止められてしまいます。

絶体絶命の状況で、遂に淡十郎が、涼介と広海が「しゅららぼん」の力を使って死にそうになりながら手に入れてきたご神水を口にします。力に目覚めた淡十郎の耳に聞こえてきたのは「あれ=龍」の声。龍は、自分の縄張りで他の湖(源爺は八郎潟の出身)の力を使う人間に腹を立てており、淡十郎に問います。「去るべしか、否か」と。「去るべし」との淡十郎の命令に従い、龍は源爺を連れ去ってしまいます。

しかし、動きを止められた人たちはそのまま。源爺の術は解けません。この絶望的な状況のなか、棗広海が、棗家に伝わる秘術について話します。しかし、その秘術が持つ本当の目的は.....

エピローグで描かれる源爺の悲しい過去、涼介と淡十郎の少しの成長、そしてある人との再会の予感。そして、「しゅららぼん」という音の笑ってしまう意味。

個人的には、「鴨川ホルモー」と「鹿男あをによし」というお気に入り2作品にはかなわないものの、爽やかな読後感を得られました。やはり、なんだか好きです「万城目ワールド」!!

いやー、本ってほんまええもんです!!


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