万城目学さんの作品、大好きです。
本作品の主人公の名前は、風太郎(ぷうたろう)。
名前のとおり、伊賀を追い出された落ちこぼれ元忍者のプータローです。
日々ぷらぷらするなかで、因心居士と名乗るもののけ「ひょうたん」に取り憑かれます。
まさにそこは万城目ワールドですが、この作品でひたすら語られるのは忍者の悲哀です。
掟に縛られ、生きることにも死ぬことにも自由は無い。
命じられるまま、石ころのように死んでいく。
それしか道が無い忍びの悲しさです。
ときは、徳川家康の世。
権力基盤を絶対的なものにするため、仕上げとして豊臣家滅亡を画策します。
一方で、平和な時代を間近に控え、忍びもその役割を終えつつあります。
風太郎も、都合よく大坂冬の陣に駆り出され、多くの人を切ります。
しかし、仕事が終われば再び、ゴミのように主君である藤堂家から捨てられます。
そんな風太郎は因心居士と、ひょんなことから知りあったねね様に頼まれます。
大坂夏の陣の真っ只中、徳川の大軍勢に囲まれた大坂城に侵入することを。
しかし、風太郎は因心居士の不思議な力と腐れ縁の忍びである蝉と黒弓の助けを得て、なんとか大坂城本丸への侵入を果たします。
そして、なんとか因心居士の願いを叶えた後、ねね様に預かったものをひさご様に届けます。ひさご様とは、つまりは大坂勢の総大将である豊臣秀頼のこと。
ここで風太郎(と蝉)は、自分たちを石ころのようにしか扱わない忍びの頭ではなく、人として温かく接してくれるひさご様のためにその命をかけることを決めます。
誰かを殺すのではなく、誰かの命を助ける。
そして、何かを最後までやり遂げる。
そのため、ひさご様の娘(赤ん坊)を徳川の大軍に囲まれた大坂城から救い出すことを決めます。
徳川の忍びとの死闘。多勢に無勢のなか、仲間が一人、また一人と死んでいきます。読んでいて涙が溢れてきます。でも、風太郎は自分のただ一つの強みを活かし、文字通り自らの命を懸けてやり遂げます。
この本を読み終えると、「プリンセストヨトミ」が読みたくなります。
風太郎のやり遂げたことが、この作品に繋がっていると思いたくなります。
まさに、去年秋田に行った際に聞いた昔語りの最後の台詞のとおり。
"とっぴんぱらりのぷう"。 この作品、お薦めです!!
いやー、本ってほんまええもんです!!
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