2016年3月12日土曜日

絶対に実写化して欲しくない本

今日の一冊は、面白かったです。
ですが、絶対に映画化を望みません。
これが実写化されると思うとぞっとします。

天使の囀り (角川ホラー文庫)
貴志 祐介
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 5,900


著者は、「黒い家」「青の炎」「新世界より」「悪の教典」などのインパクトの強い作品で有名な貴志祐介さん。1998年発表と、貴志さんの作品では初期のものです。

本作品の主人公は、ホスピスで働く精神科医の北島早苗。彼女の恋人で作家の高梨が、アマゾンから送ってくるメールから話は始まります。このアマゾン調査隊への参加以降、彼の人格が異様な変容を見せます。自信に溢れ、異常なまでの食欲を見せます。そして何よりも、病的な死恐怖症だった高梨が「死」に魅せられ、その末に自殺します。「天使の囀りが聞こえる」という言葉を残し。

さらに、調査隊の他のメンバー2名も、異常な方法で自殺を遂げたことがわかります。動物嫌いだった男性は、自らトラに噛まれ。子どもを失うことを恐れていた女性は、子どもを特急電車が入ってくる線路に投げ落としたあとで、それを追い。

一方で、高梨の死の謎を追う早苗の話と並行して、「地球(ガイア)の子どもたち」という団体に意図せず関わってしまう、荻野信一という引きこもり気味の青年の話も進展します。彼と一緒にこの団体のセミナーに参加した3名も異常な死を遂げます。ひどい尖端恐怖症だった女性は、ナイフで自分の目を刺し。自分の顔の痣をひどく気にしていた青年は、劇薬の溶液に顔を浸け。更に、極度の潔癖性だった女性は、アオコだらけで不快な悪臭が漂う沼に入水し。そして、蜘蛛恐怖症だった信一も、異常なほどに蜘蛛に魅せられていきます。が、その描写は何とも想像するだけで.....。オエッ。

やがて、それらの原因が線虫である、ということが判明していきます。ブラジル脳線虫という、寄生虫の類です。それに感染したサルを食べたため、ブラジル調査隊のメンバーもその線虫に感染してしまったのでした。この線虫に感染した人間は、強い恐怖を感じるほど、それが強い快楽に変わってしまいます。恐さを感じなくなるため自信に溢れた人間になりますが、それは一時的なもの。やがて、より強い快楽を求め、最終的には自ら死を選んでしまうのです。

では、「ガイアの子どもたち」の参加者も何故、同じような方法で死を選んでしまったのか?それは「ガイアの子どもたち」の主催者こそ、失踪していたブラジル調査隊のメンバーだったからでした。彼は線虫の力に魅せられ、線虫の力はコントロール可能と勝手に過信し、セミナーの参加者に、線虫に感染した猿の肉を食べさせていたのでした。

早苗は、線虫の権威である新たなパートナーである依田の実験により、自ら死を選べない状況に置いた場合に、ブラジル脳線虫に感染した生物が至る最終段階を知ります。「ガイアの子どもたち」の暴走を止めなければ。やっとの想いで「ガイアの子どもたち」が借りていた那須高原の建物を見つけ、そこにたどり着きます。しかし、そこの大浴場で目にした彼らの最終段階は.......。オエッ。

しかも、ここで話は完結かと思いきや、まだまだ悲劇は続きます.....。

多少都合の良い展開は目につくものの、非常にひき込まれて読んだことは事実。さらに、線虫や精神病等々に関する知識も、豊富に提供してくれています。まあグロテスクな描写に少し注意しさえすれば、大変面白い作品だったと思います。

ですが、最初に述べたとおり、実写化は遠慮したいです......。

いやー、本ってほんまええもんです!!


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