2016年4月17日日曜日

生きていく勇気をもらえる本

続編を読んだ関係で、まずは1作目について紹介します。
ベストセラーになったので読んだ方も多いと思いますが、この本、大変お薦めです!!

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 16

まず本書のタイトルの「嫌われる勇気」ですが、「自由とは、他者から嫌われることである」というアドラー心理学の考え方からきています。これだけ聞くと思い切り誤解してしまうので順を追って説明しますが、本書はこのアドラー心理学について、哲人と青年の問答という形式をとり、大変分かりやすく解説をしてくれています。このアドラー心理学ですが「心理学」というよりも「哲学」、あるいは「生き方論」と言ったほうが分かりやすいようなものです。しかし、一見楽なように見えて、実は大変厳しい生き方を求めるものです。

まず二人が問答を交わす第一夜目で説かれるのが、
・(人は)自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定する。
・(人にとって)大切なのは、なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである。
・あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからだ。
・いろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいることのほうが楽であり安心。「もしも何々だったら」と可能性のなかに生きているうちは、変わることなどできない。
・これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響もない。
といった言葉の数々です。

才能や過去がその人の人生を決定する、という世の一般的な考え方をアドラーは真っ向から否定しています。変わらないことが実はもっともその人にとって楽な道であるから、変わらないという目的のために、才能や過去を自ら言い訳にしているに過ぎない。要は、幸せなるという選択をする勇気がないだけだ、と論じています。

さらに第二夜では、人が抱える悩みの根源について論じていきます。
・人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。
・われわれを苦しめる劣等感は「客観的な真実」ではなく「主観的な解釈」。
・健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるものではなく、「理想の自分」との比較から生まれるもの。(人は)誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいい。
・対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることができない。

非常に厳しい指摘が続きます。そしてここで始めて、アドラー心理学が掲げる目標が明らかにされます。
【行動面の目標】
・自立すること。
・社会と調和して暮らせること。
【心理面の目標】
・わたしには能力がある、という意識。
・人々はわたしの仲間である、という意識。
【目標を達成するための手段】
・「仕事」「交友」「愛」という3つの「人生のタスク」と向き合うこと。
つまり、この「人生のタスク」とは対人関係のことです。さらに、アドラー心理学は「自分が変わるための心理学」であることが示されます。そのためには逃げてはならず、これは勇気の問題だ、と説かれます。

さらに第三夜には、「課題の分離」という考え方が登場します。
・他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになる。他者の期待を満たすように生きることは楽。自分の人生を他人任せにしているから。
・自分の課題と他者の課題とを分離していく必要がある。他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。他者の課題に介入することこそ、自己中心的な発想。
・誰の課題かを見分ける方法はシンプル。その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?
・本人の意向を無視して「変わること」を強要したところで、あとで強烈な反動がやってくるだけ。自分を変えることができるのは、自分しかいない。
・相手を信じること。これはあなたの課題。あなたの期待や信頼に対して相手がどう動くかは、他者の課題。
・あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」。その選択についてどのような評価を下すのか。これは他者の課題であってあなたにはどうにもできない話。
・他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。

ここで「嫌われる勇気」の話が出てきます。要は、他者の人生を生きることは人生の嘘であり、自分の課題と向き合い自分の信じる道を選べ、ということです。さらに、親子関係の話も出てきます。例えば、子どもが勉強しないと親はついつい叱ってしまいます。しかし、アドラーは、それが本人の課題であることを伝え、もしも本人が勉強したいと思ったときにはいつでも援助をする用意があることを伝えろ、と言います。親に出来ることは子どもを信じることだけだ、と。さらに、困難に直面することを教えられなかった子どもたちは、あらゆる困難を避けようとする、と諭します。実に厳しい考え方です.....。

さらに、第四夜に続きます。
・他者からどう見られているかばかりを気にかける生き方こそ、自己中心的なライフスタイル。「わたしはこの人はなにを与えられるか?」を考えなければならない。
・学校に居場所がないのなら、学校の「外」に居場所を見つければいい。目の前の小さな共同体に固執しない。
・ほめてはいけないし、叱ってもいけない。人が他者をほめるとき、そこには「縦の関係」が存在する。アドラー心理学ではあらゆる「縦の関係」を否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱している。横の関係に基づく援助を「勇気づけ」と呼ぶ。「ありがとう」と感謝の言葉を伝え、「うれしい」と素直な喜びを伝え、「助かったよ」とお礼の言葉を伝える。いちばん大切なことは他者を評価しないこと。
・人は感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知る。自分には価値があると思える。
・他者のことを「行為」のレベルではなく、「存在」のレベルで見ていく。そこに存在していること、それ自体を喜び、感謝の言葉をかけていく。
・他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。あなたが始めるべきだ。

「横の関係」で他者に貢献していくことを説いています。そして、ここでも「課題の分離」が出てきます。要は「他者がやっていなくても関係ない。それは他者の課題。自己の課題として、あなたは他者に貢献していきなさい」と説いています。さらに「あなたの貢献が役立っているかどうかを判断するのはあなたではない。幸福とは(主観的な)貢献感である」とも説いています。他者からの感謝の言葉を求めてはいけない。しかし、自らは感謝の言葉を他者に伝えよ。他者に関係なく、まずはそのことをあなたが始めよ。繰り返しになりますが、厳しい考え方です。

そして、最終夜を迎えます。
・「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極める。「与えられたものをどう使うか」は、自分の力によって変えていくことができる。すべては勇気の問題。
・対人関係の基礎は「信頼」。他者を信じるにあたって、一切の条件をつけない。裏切るか裏切らないかを決めるのは、他者の課題。信頼することを怖れていたら、結局は誰とも深い関係を築くことはできない。

話は最後の核心に近づいていきます。個人的には、この最後の話に、最も感銘を受けました。
・計画的な人生など不可能。人生に目的地は存在しない。(目的地があると考えてしまうと、)できるだけ効率的かつ速やかに達成することが望ましいと考えてしまう。しかし、目的が登頂ではなく登山そのものであれば、結果として山頂にたどり着くかどうかは関係ない(登山という過程そのものを最大限に楽しめる)。
・「いま、ここ」に強烈なスポットライトを(自ら)当てていたら、過去も未来も見えなくなる。過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。
・人生はつねに完結している。人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を真剣に生きないこと。
・困難に見舞われたときにこそ前を見て「これからなにができるのか?」を考えるべき。人生の意味は、あなたが自分自身に与えるもの。「いま、ここ」を真剣に踊りきったときにこそ、人生の意味は明らかになる。

最後まで首尾一貫して、大変厳しい生き方が求められています。「変えられない過去のせいにしたり、存在しない未来のことで憂いたり、他者からの承認を求めたり、他者の考えを気にしたり....。それらは全て人生における時間の無駄であり、その人における人生の嘘。先延ばしなどせず、いまこの瞬間を精一杯に生きなさい。他者への貢献を道標に、自分が信じる道を進みなさい。そして、そのための勇気を持ちなさい」と説いています。

人生とはやはり厳しいものです。しかし、人生は「わたし」次第です。そう考えると、人生とは何と楽しくもあるのでしょう。「勇気」を求められる一方で、「生きていく勇気」を逆にもらえた一冊でした。

いやー、本ってほんまええもんです!!


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