2016年6月12日日曜日

経済学と銘打った桂小枝的小ネタ集の本

本日の一冊は、フリーコノミクス(「ヤバい経済学」)シリーズの最新作。
ですが、内容的には少々消化不良でした。今作は、小ネタ集的な感じでして.....

ヤバすぎる経済学
ヤバすぎる経済学
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スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー
東洋経済新報社
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例えば政治ネタ。政治家のいまのインセンティブは目先の利益だけだが、市民が政治家に真に願うことは長い時間を要する難しい課題の解決。であれば、政治家自身の法案に対するストック・オプションみたいな制度を設け、5年後なり10年後になるか分からないが、法案の効果を検証したうえで、効果が確かめられたら小切手を切る仕組みを導入することを提案しています。これって、昨今の事象的にも、ごもっとも感に溢れてます。

さらに、ペプシネタ。秘密のレシピを盗んでペプシに売りつけようとしたコカコーラの社員が、ペプシの協力により捕まった事件について。そもそも、コークの秘密のレシピはペプシにとってはほとんど何の価値もなかったから、と分析しています。
【シナリオ①】レシピを一般に公表する⇒コークの値崩れが起きる⇒皆、ペプシからコークに乗り換える。
【シナリオ②】コークと全く同じ味の飲み物を販売する⇒本物とペプシ版コークは完全代替材となり、激しい価格競争が起きる。

続いては、知らない人を怖がるコストネタ。サンタの格好をして元妻と彼女の家族を殺した白人の男の例を出し、人はだいたいリスクを見積もるのがヘタで、知っているものより知らないものを怖がる傾向があると説いています。ある年のアメリカでは、知っている人に殺された人の、知らない相手に殺された人に対する割合は3対1。さらに、失踪した子どもの理由も、知っている人(家族含む)による誘拐約26万件に対し、ほとんど見知らぬ人による誘拐がほんの約100件だとか。

今度は、環境ネタ。著者は、菜食主義こそグローバルな気候変動を抑えるための最も有効な手段であることは明らかな一方で、環境派がそのことを口にしない点に疑問を投げかけています。反芻動物(牛等)の肉を食事から排除すれば気候変動との戦いにかかるコストは50%減らせ、菜食なら減少は80%を超えます。では何故、環境保護主義主流派は肉食の害に無関心なのか?その理由は結局のところ、牛は肉であり、個人にとって幸福を追求する自由を表すものだから、と分析しています。つまりは「だって肉は食べたいもん」ということですね....

次は、移民ネタ。移民帰化局に提出する書類にある質問に、果たして意味はあるのでしょうか?例えば「テロ組織の構成員であったか、またはなんらかの形でテロ組織に関与したことがありますか?」「罪や違反行為を犯したが逮捕されていない事例はありますか?」等々。これらの質問に「はい」って答える人、いないですよね?でも、著者は意味はあると言い切っています。いざというときにはいつでも、嘘の答えを理由として、そういう人たちを訴追したり国外に退去させたりできるから、と。

そして、アニメ映画ネタ。なんで大物俳優が、こんなにも多くアニメ映画に声だけで出演しているのでしょうか?この傾向は、日本でも全く同じですね。スターが別にうまい訳でもないし、映画好きの人がスターの声を聞きたい訳でもないし、別に声だけならギャラが安い訳でもない。結局のところ、大物俳優が声だけのために呼ばれるのは、まさに彼らのギャラが高いからだ、と分析しています。プロデューサーは、「この映画は大ヒットすると思っているよ」と外部にシグナルを送りたいのです。

最後は、著者が14歳のときに、釣りに行った際に気付いた教訓を紹介します。
「僕らは長い目でものを見るべきだ。追い求めるべきなのは大きな目標、つまり追い求める間には何度も失敗することになる、そんな目標だ。そういう目標こそ追いかける値打ちがある。ぼくがこのとき学んだのは機会費用だ。小さい魚を捕まえるのばっかりやってると、時間がなくなって、大きな魚はついぞ捕まえられなくなる。」
素晴らしい教訓だと思います。


いやー、本ってほんまええもんです!!


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