2016年7月10日日曜日

日米関係について改めて考えさせられる本

最初にお伝えします。
本日の一冊は大変な名著です。が、既に絶版です。

この本を手に入れたいと思い、amazon等々で検索しましたが、最安値のところでも値段は3,000円以上。定価は1,300円なのに。高い....(T T) しかし、「絶版本なので止む無し」と諦めかけていたときに立ち寄った横浜のBOOK OFFさんでダメもとで探したら。ありました。108円......(- -;)

恐るべしBOOK OFF。と、いうことで本日の一冊です。

日本永久占領―日米関係、隠された真実 (講談社プラスアルファ文庫)
片岡 鉄哉
講談社
売り上げランキング: 508,247

本著の主題は、独立国としての日本の現在の異常な状態を冷静に分析し、その原因となった戦後の日米関係を紐解くことです。戦後から60年安保までの間の日本政府と米国政府の内幕、駆け引き、人間関係が実に詳細に描かれています。そして本著の主な主人公は、吉田茂、鳩山一郎、そして岸信介という3名の内閣総理大臣です。

本著を読むと、戦後の日本がいかに米国政府の横暴、政治家の面子、党利や派閥の権力争い、野党やマスコミの無責任に振り回され、独立国としての体をなさなくなっていったかが良く分かります。吉田、鳩山、岸政権下で形作られた、現在まで続く日本の状態(国防)は「名誉あるただ乗り」であり、その原因は「憲法は変えられないという神話」であると著者は説きます。

当時巻き起こった議論、戦力保持=「海外派兵」「米国の戦争に巻き込まれる」という論調は、いまの日本社会や国会にも、そのまま引き継がれています。しかし、本著を読み進めると、他国に依存する防衛がいかに危うくて弱いものであるかが良く分かります。

吉田政権が朝鮮戦争への貢献を拒否したことで、結果として、日本国は制裁を受けました。極度に不平等な初期安保条約をおしつけられました。湾岸戦争の際も状況は同じでした。「お金を出したのだから、もっと日本の貢献は評価されるべきだ」と日本社会、そしてマスコミは主張します。しかし、ヒトを出している国から見れば、日本は「獅子の倒れるのを待っている禿鷹(本著より引用)」に等しいのです。蔑視こそされ、感謝などされるべくもありません。

本著では、吉田茂を徹底して批判しています。しかし一方で、彼が戦後のGHQ占領下の厳しい状況で、天皇と天皇制を救うために、途端の苦しみをなめた事実は認めています。そして最終章では、彼が死ぬ前に残した言葉を引用し、現在(出版当時)の政権に警鐘を鳴らしています。

 立派な独立国、しかも経済的にも、技術的にも、はたまた学問的にも、世界の一流に伍するに至った独立国日本が、自己防衛の面において、いつまでも他国依存の改まらないことは、いわば国家としての片輪の状態にあるといってよい。国際外交の面においても、決して尊重される所以ではないのである。
 (中略)
 国民も、国土防衛というこの至上の命令において、すべからく古い考え方を清算し、新しい観点に立って再思三考すべきであろうと思う。

 私自身も、もちろん戦争には反対です。人が人を殺すなどという行為は許されるものではありません。従って、憲法9条は尊敬されるべきものであり、米軍に依存する防衛体制はやむを得ないものだと信じてきました。しかし、本著を読んで改めて考えさせられました。本当にそうなのでしょうか?

 他国の状況を見れば分かるとおり、「戦力保持=戦争に巻き込まれる」ということではなく、真の独立国になるということであり、対等な関係に基づいて都度協議を行えばよいのです。しかし、米軍に依存している状況では、そもそも対等な関係にすら立てていません。現在の状況のほうがむしろ、日本政府と国土防衛にとっては危険な状態であると言えるかもしれません。

 著者は、そもそもの現在の「日本の衰退の原因こそ憲法」であり、現在の世界情勢のなかでは「国防をおろそかにする国は存立できない」と結論づけています。戦後70年を超えたいま、もう一度憲法と国防について自分の頭で考えてみる必要性を感じた一冊でした。

いやー、本ってほんまええもんです!!


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