2016年5月14日土曜日

0から1を生み出してみましょう的発想本

本日は、大前研一さんの新著です。
大前研一さんの著書を久しぶりに読みました。

「0から1」の発想術
「0から1」の発想術
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大前 研一
小学館
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本書は、1を1.1や1.2にする「カイゼン」ではなく、0から1を生み出す「イノベーション」のための発想術が紹介されています。

結論から言うと、特段新しい発想術はありませんでした。ただ、知っているだけでは意味がなく、こうした発想術は習慣にしていくことではじめて意味を持ちます。従って、見直すためにも、これだけの発想術を1冊に纏めてくれていることに、本書の価値があると思います。

取り上げられている発想術について、個人的意見・感想も含めていくつか紹介します。

① 孫さんのタイムマシン経営で有名な、情報格差で利益を生み出す「アービトラージ」という発想術。
② 小さな兆しをとらえて高速の早送りを行い、来るべき未来を創造する「早送りの発想」術。
いずれの発想術でも、ビジネスに活かしていくにはスピードが重要です。しかし、そのためには英語力が必須だということを再認識しました。日本語に訳されていない情報が、世界中には溢れています。こうした情報に対して、直接アクセスできる必要があります。

③ 資産の稼働率を高める「固定費に対する貢献」という発想術。
④ ネットを活用してユーザーとサービスを結びつける「空いているものを有効活用する発想」術。
UberやAirbnbが有名な例ですが、こうしたサービスは、ネットの発展でどんどん巷に溢れてきています。国内でも、プロフェッショナルと企業をマッチングする「ランサーズ」や空きスペースをマッチングする「軒先.com」などが有名です。大塚商会さんも、私のような企業内診断士を有効活用するサービスを手掛けられています。一方で、投資コストが極めて低いこうしたサービスにおいては、差別化が大きな経営課題だと思います。

⑤ 事実を集めたうえで、発想を飛躍させて答えを導き出す「全てが意味することは何?」という発想術。
⑥ 見えないものを大きな概念の絵にする「構想」という発想術。
このためには、問題を解く力ではなく、より大きな視点で正しい問題を設定する力が必要と考えます。ふと、ある大企業の社長さんが以前に言われていたことを思い出しました。「日本の教育制度の弊害だ。我が社には、与えられた問題を器用に解くことに長けた社員ばかり。現状を壊したり、新しいものを創造できる "バカ者" がいない」と。しかし、そもそも社長が仰る "バカ者" を許容できる採用規準や人事規準が、その企業には用意されているのでしょうか?そんな疑問を持ちました。

他にも「時間軸をずらす」や、違う業界から学ぶ「横展開」などは私もよく使う発想術で、かなり使えます。一方で、著者は最後に、企業の中で新規事業を創出するための条件として「外部の力を巻き込む」「会社が余計な口を出せないようにする」「成功した時のインセンティブを約束しておく」ことを挙げています。私の知っているある会社でも、新規事業の創造を期待した制度を運用されています。しかし、上記の条件が一つも揃っていません。結果、ただの小粒なアイデア大会にしか、私には見えませんでした。

著者も最初に述べていますが、これからは個人の力が世界を変える時代です。既存の企業も生き残るためには、個人の力を最大限に活かす必要があります。従来どおりの社員を管理する発想しかできない企業は、近い未来、市場からの退場を強いられるのではないでしょうか。

いやー、本ってほんまええもんです!!


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